THIS IS IT
◆「THIS IS IT」を見た。映画が公開されると知ってぜひ見たいと思っていた。2週間限定上映ということで無理かもしれないと思ったのだが、念願叶って幸せ。
レディスデイと重なり、9割方女性で満員の劇場内に夫と並んで見たのも、いつの日かいい思い出になるに違いない。
五日前には、この夏我が家にホームステイしていた韓国の女子大生マリアさんから「見ました。感動しました。悦子さんも見てください」とのメールも届いていた。マイケルの死は彼女のホームステイ中の出来事。ニュースを聞いた私たちは、マイケルのCDを聴きながら彼の死を悼んだ。
◆私にとって忘れられない歌はHeal The World♪
1993年、草の根援助運動を始めたばかりの頃、この活動に本気で取り組もうと決心した私が決行したのが100日間のフィリピン滞在。
マニラ首都圏ケソン市でフィリピン農村再建運動(PRRM)の本部オフィスに通い、PRRMのフィールド・7州の25の村々を訪ね過ごしたあの日々、いつもどこからか聴こえてきて私を励ましてくれた暖かい歌声、それがHeal The World♪だった。
あれから、Heal The World♪は、私を1993年のあの日あの場所に連れていってくれる歌となった。
◆自分の死が迫りくることも知らず、ロンドン公演の成功を信じて何百時間もリハーサルを重ねていたMJ。映画はそのリハーサルでの彼の真剣さと才能の豊かさを200%以上伝えるものだった。あの細い体と精神で、極限まで美しく、エネルギッシュに彼の世界を表現していた。
平和、環境、人権、平等、愛、家族、友だち、子ども。世界中の人々をハッピーにしたいと命をかけて歌っていたことがよくわかる。
ファンは非日常、夢の世界を望んでいる。それに応えなければならないと言っていたMJにとって、ロンドン公演は本当に成功させたかったものに違いない。
またリハーサルでは、いっしょにステージをつくる人たち、ミュージシャン、ダンサー、音響さん、照明さん、そしてクリエイティブ・ディレクターらから、いかに大きな敬意を集めていたかがわかる。そこでは彼は確かに共同クリエイティブ・ディレクターであった。文字通りの「チームMJ」が存在した。
一ファンでさえ受け入れられない彼の死を、「チームMJ」の面々はどう受け止め、乗り切っていくのだろう。
◆スクリーンでマイケルは永遠に踊り続け、歌い続ける。映画館にはこの映画を見た人の記念になるものは何も用意されていなかった。
映画(ステージ・作品)の記憶だけがすべてなのだ。