さくら色の幸せ
◆10年ぶり?20年ぶり?ほんとうに久しぶりに友だちの家での「趣味講座」に参
加した。科目は染め物。
かつて子どもが小さかったころ、私も人並みにご近所仲間の「趣味講座」に参加していた。特別な先生をお招きするのではなく、その時々得意な人が先生になってだれかの家に集まってお互いに教えあった。パッチワーク、マクラメ、籐のカゴ編み、ペーパーフラワー、そして、ケーキも焼いた、パンもつくった。私?実は見かけによらず(?)私はネクタイづくりの先生だった。
そう、あの頃丸の内のオフィスに通う夫のネクタイはほとんどが私の手作りだった。
◆そんな優雅な時間が持てなくなって久しい。それが、たまたま昔の友だちから誘われて染め物教室&ランチの会に参加できることになった。前日からワクワク。当日は春めいた日差しのなか、よそ様のお宅の庭先の花々を愛でながら、ゆっくり歩いて友だちの家へ。
◆先生1人に生徒4人。染め物はさくら染め。
桜の枝+灰を混ぜて煮詰めて抽出した液体は濃いさくらんぼ色。ワイングラスに注げば、赤ワインと思って飲んでしまいそうな色。友だちがつくった液体と先生が持参した液体は微妙に違う色になっていた。桜の枝には桜色とオレンジ色が詰まっているとかで、そのバランスの違いが染料の色合いの違いになっている。桜の枝がいつ木から切られたものかによっても色合いは違ってくる。そして、面白いことにこの染料で染められるのは絹、ウール、レーヨンだけで綿など他の繊維は染まらないのだそうだ。
◆液体に浸すと白絹のスカーフは静かに色を変えていき、濃いさくら色に染まって止まった。20分程度で引き上げ、お湯で洗って生乾きになったところでアイロンをかけた。するとみるみるうちにそれはやさしいさくら色が出現した。
正真正銘のさくら色。私ののスカーフにはさくらの花びらの地模様が浮かび上がった。これから毎年この季節が巡り来るたびに、私の首元をこのスカーフが包んでくれる。さくら色の染め物はほんわかあったかな幸せ色だ。