知的刺激
◆大学を出てから34年を経た2002年4月、私は一念発起して社会人のための夜間の大学院に入学した。開発協力NGOで活動する以上、もう少し開発や開発支援について勉強したいとの思いが入学の動機だった。2年間の学びを終え、開発支援におけるODAとNGOの連携をテーマになんとか修士論文を書き上げ、無事修士課程を修了した。2004年3月、もう5年も前のことになる。
◆大学院に行ったことで私は計算外の二つの幸運に恵まれた。ひとつは大学の非常勤講師になれたこと。指導教授の推薦で実現した。修士どころか博士号取得者でさえ必ずしも大学で教えられるとは限らない世の中で、私は「多文化理解」の講義を持ち、自分のこれまでの知識・経験、さらには平和と共生の社会をつくっていきたいとの思いをたくさんの大学生たちに直接伝えられる機会を得た。この上なく幸せなこと。実際、今年度の講義には90名もの受講者があり、ちょうど今提出されたレポートを読んでいるのだが、学生たちが多文化・多言語共生社会の実現をさまざまな視点からまじめに考えていることを知って講師冥利に尽きると思っている。自身勉強を深める喜びに出会いながらこの機会を大事にしたいと思っている。
◆もうひとつは「グローバルガバナンス研究会(GG研)」への参加。この研究会には国際開発論がご専門の教授と、教授の修論指導や講義を受けた人たち約10名が参加している。国家公務員、地方自治体職員、JICA職員、団体職員、民間企業社員、学生、NGOの私など。うち海外在住者2名。博士課程在籍者5名。
研究会は3ヶ月に2回ぐらいのペースで開催され、だれかが研究発表をして皆で批評しあい、先生の指導を受け、飲み会(研究会の続き)へと続く。研究のテーマ設定や内容だけでなく、研究手法や論文の書き方まで学ぶ場になり、私はいつも非日常的知的刺激を受ける。参加者は必ずコメントをしなくてはならない。人の発表を論評するのはけっこう大変で私は毎回苦しみ恥をかいている。
今回(2月14日)の発表者は2名。Ma Oさん「姜熙大(カン・ヒデ)富川市民賞特別賞受賞報告」と、Mi Oさん「中国駐在報告」。MiOさんは最近「日中関係とODA―対中ODAをめぐる政治外交史入門 」http://duan.jp/item/081.htmlを出版された。二人の業績はメンバーにとって誇りであり喜びであった。
そんなかでの私の唯一の取り柄は市民運動・NGOの現場を語り、示すことができること。たとえば今回の研究会は2月14日だったので、私は「草の根援助運動・バレンタインカード(HP参照)」とJIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク:イラクにおける小児ガン・白血病などの医療支援活動に取り組むNGO)のチョコで支援キャンペーンのチョコレートを配った。
成長はそれほど期待できないだろうが、私もなるべく1年に2度ぐらいは研究発表をしたいと思っている。