NGOの撤退
きちんとしたNGOは、援助計画に撤退期を組み入れる。だらだらした援助は、依存体質をつくってしまう。誰かがなにかやってくれる、という意識が根付く前に、住民の自立の可能性を見極めて、あとはすべてを住民に委ねて去っていくのだ。
エントリー>活動>撤退 で10年のサイクル、というのがわがパートナーNGOであるフィリピンのPRRMでも、基本となっている。
でも、実際には、NGOは簡単には撤退できない。
撤退した(と思われた)ためにうまくいかなくなってしまった例がいくつもある。
その一つの例が、僕らのプロジェクト地であるマニラ湾東側の、サンタメルセデス。
2000年から2003年まで、僕らはプロジェクトを実施した。そして、突然終了した。
資金が続かなくなったからだけれど、住民組織もしっかりできていたし、なんとかなると思った。
でも、住民-漁民の意識はちがっていた。
NGOがこなくなった、見捨てられた、と感じたという。
実際には、その後も関係者はなんども訪れている。ただ、2003年までのプロジェクトの担当者は、プロジェクトでの雇用関係もなくなったので、当然行かなくなった。
それが、住民たちにとっては、見捨てられた、と思ったというわけだ。
そこで、NGOは撤退はできない、というのが僕の結論。プロジェクトの終了とNGOの撤退は違う。プロジェクトは終了してもいいが、NGOは関わり続ける必要がある。そして、この場合のNGOというのは、組織だけでなく、実際には「人」なのだ。
そして関わり続けるNGOのやるべきことの一つが、世代交代に関わるところだ。
NGO側も、組織側も人は歳をとり、若い者が次に出てくる。その引き継ぎをスムーズにすることが、大事な仕事になる。
実際には、ぶらぶらとその土地に行き、人々と話し、状況を聞いて回るだけでいい。NGOが見てくれている、何かあったら相談に乗ってくれる人がいる、という意識が活動する住民組織への大きな支援となる。若い村民や若い組織メンバーには、そうしたNGOからの支援者がいるということ自体が、大きな支援になる。
そして、その中から若者たちがなにかを求めてきたら、それはまた、援助プロジェクトの始動につながる。