日比経済連携協定は格差を増大させる
フィリピンから介護士がやってくる、というニュースが流れたのは2006年の秋。それから2年たっても進展しないのは、フィリピン国内で反対の声が強く、批准されていないからだ。そうこうしているうちにインドネシアとの協定の方が先に発効して、インドネシア人看護師・介護士が1,000人入ってくるというニュースも流れている。
この協定について、フィリピン大学のローランド・シンブラン教授(「ちぇろのフィリピン大学留学日記」に登場しているS教授)は次の8つの問題点を挙げている。
1 不平等である。
日本は16分野を保護貿易領域としているのに対し、フィリピンは5分野のみである。
2 フィリピン経済への良い影響は限定的。
フィリピン人看護師は日本では最底辺の看護師にならざるを得ない。農業でも漁業でも、フィリピン人に対する悪い影響のみ。
3 日本の有害廃棄物輸出への道を開く。
医療廃棄物、産業廃棄物等が関税なしで輸出できるようになる。
4 自由貿易は「途上国」の開発を進めることにならない。
常に「先進国」側がさらに利益を得るようになる。
5 フィリピンの経済政策を著しく制限する。
日本側の投資の自由度が大きい。
6 フィリピンの産業発展を阻害し、就業機会を減少させる。
フィリピン国内の小規模産業は自由貿易に押しつぶされる。
7 フィリピン農業が衰退し、食糧供給を不安定化する。
フィリピンバナナとパイナップルの輸出自由化が大きく宣伝されているが、フィリピンから日本のうち食料品は7.4%に過ぎず、しかもその大半はデルモンテのような多国籍企業からのもので貧しい農民にはなんの利益もない。
8 日本企業に大きな利益を与え、フィリピン経済に悪影響を与える。
フィリピン国会はこの8月にもこの協定を批准する、というニュースが流れてきている。日本ではようやく規制緩和の行き過ぎによる格差拡大が認識され始めたところだが、この協定は両国内それぞれの格差―貧困層―増大を進める方向にしか働かないだろう。
貧しい人々は、常に置いていかれる。この協定が意味するのは、猛威を振るっている新自由主義の新局面そのものだ。