マイクロクレジットはむずかしい(フィリピン)
バングラデシュでユヌス博士がノーベル賞を受けたことで少し知られるようになった、マイクロクレジット。銀行が貸したがらないような貧しい人々に小額の融資をして、それを元手に事業を行う。小さな店を開いたり、農業の原資にしたりと生活の向上に使って、貧困から脱出していく。
90年代の一時期には、これがばら色の支援方法のように言われたこともあった。でももちろん、いいことばかりじゃない。問題は・・・
1 資金をもとに稼ぐわけだから、それができる能力のない人には貸せない。ということは、結果的にますます貧富の差が広がる。
2 農業など、自然に依存する産業では返済できない可能性が高くなる。
3 返済率を上げるために無理をすると、現場ではかなり悲惨な状況が繰り広げられることになる。
4 NGOがやると、いわゆる寄付との混同から、返済率が上がらないことがある。
などなど。
フィリピンの場合、楽天的かつのんびりしたフィリピン人の国民性のせいで、うまくいかないマイクロクレジットが多い、というのが僕らの観測。大きな声じゃ言えないけれど、90年代末に始めたものでは返済率が5割に満たなかったこともあって、貸してるんだかあげてるんだか分からないものもあった。
これを卒論で研究し、さらに修士論文で追ったのが、草の根援助運動の準メンバー的存在、河合由美子さん。草の根援助運動の支援地域であるフィリピンのヌエバエシハ州をフィールドにていねいに追いかけてきた。
以前聞かせてもらった卒業論文では、なんのために借りているのか分からないというケースもあった。小さなよろずやサリサリストアの仕入れに小額を借り、利益で返し、しかし次の仕入れにはまた借りるという繰り返しをしている例など、面白い例を教えてもらった。
先週のフィリピン班ミーティングで報告された修士論文では、今度はうまくいっている例を紹介してくれた。草の根援助運動が2002年に原資を提供したバントッグ村の例だが、成果があがっているし、受益者も多く、しかも返済率も高い。僕らとしては誇らしく思える、そしてほっとする成功例だ。
その根本には、村人たちの運営組織の健全さにあるらしい。そして多分、そのリーダーの資質も大きい。
マイクロクレジットが成功するためには、なによりもその運営主体の組織が大きく関わってくる。
(この項続く)