井戸掘りも単純ではない
草の根援助運動は、10年以上前、日本のNGOとしてはかなり早い時期に、援助方針・援助基準・評価基準というものを定めていました。以来援助プロジェクトを始めるときには援助方針と援助基準に則ったものとして、一定の期間後は評価基準を元に評価を加える、ということをしてきました(正直に言えば、必ずしもその手順を踏まなかったプロジェクトもありますが)。
援助基準の4番目「開発思想」には6つの項目があります。
4.1 援助への新たな依存関係をつくらない
4.2 援助を土台に援助のいらない生活をめざしている
4.3 住民の参加を基本にしている
4.4 自立・自助努力を補うための援助である
4.5 住民のニーズに基づいている
4.6 他の地域・分野に影響を与える可能性をもっている
というものです。
今回のプロジェクトが突然NGOが行って井戸を掘ってあげる、というものだったら、どの項目についても問題ありになるでしょう。そうでないものにするためにはどうすればいいか。
一番大事なのが、住民のニーズと参加です。
どこに掘るのか、それをどう使うのかをきちんと決めて掘らないと、井戸はしばしば利権化します。交渉役の人が、自分の土地に井戸を掘り、そこから使用料を取っていた、などという話は時々聞きます。NGOとの交渉ができる人が、結果的により大きな利益を得て、地域内の格差を大きくする、というのはごく自然に起きてくることです。
98年の井戸の時には、住民組織をつくるところから始めて、場所決めと管理の方法を決定し、管理委員会がさまざまな規則を決める、という手順を踏みました。
今回は同じ地域なので、一から始めるわけではありませんが、それでもやはり「お金ができた、さあ掘ってあげる」というわけにはいかない。
井戸を掘るという一見単純な援助でも、考えなければいけないことはたくさんあるのです。